私がデザイナーとなり2社目で働いていた頃の話。あるクライアントを任せられ毎日が勉強、勉強でした。
デザインはもちろん、いろんな社会の一面を学んだのもそのクライアントのお陰だと今も思っています。
カタログや雑誌やタグ、ポスター、POP、新聞や店頭ディスプレイなど幅広く経験させてもらいました。
私の勤めていた会社は時代を先取り、早くからWebの会社を姉妹会社として立ち上げていました。
DTP制作とWeb制作が1つのフロアで働くなど恵まれた環境だということにも気がつかず、
私は「ホームページは自分とは関係ないもの」だと感じ、全然勉強しませんでした。
そんなある日、そのクライアントからホームページのことを聞かれました。
「これからホームページってのを作らなきゃダメなんだろうか？」
「だいたい、ホームページ作って、どんなふうに展開するんだい？」
「作成費は高いの？」「すぐ作れるの？」などなど・・・・
私は「すみません、今度、説明できる人間を連れてきます」と答えた。
「そうか、そうだよな、印刷物専門だもんな、分かるわけないか。
いや、実は上から作成するように言われてるんだけど誰に相談していいか分からなかったんだよ。
そうね、お宅にはWeb制作会社と繋がりがあるからね・・・・今度紹介してください。」
「はい、かしこまりました。」
私は、その会話でいろんなことに気がついた。
まず、バブルのはじけたこの時代にどれだけ人員削減したいのかと、会社側から考えてみれば、
その担当のように「DTP広告の担当」だけでなく「Web広告の担当」を含め「広告宣伝の担当」となる。
まぁ、普通に考えていけば当然そうなる。
担当はDTPもWebも抱えているため、外注先がバラバラだと何かと大変なのだ。
だから、DTP、Webとどちらも出来る会社に依頼を多くするのだと。
今ではそんな会社は珍しくないが・・・・
そして自分も気がついた。
どちらも出来るデザイナーが生き残れる。
少なくとも理解しているデザイナーに仕事は回ってくると・・・
その後、まもなくして私は会社でWebを学びたいため姉妹会社への人事異動を申し出た。
が、残念なことに今からWebを学ばせる会社のゆとりなど無いという結論となった。
仕方なく、私は転職してWebを1から学ぶことにしたのだ。
そして、何年か月日は経ち、今ではフリーランスとなったのだが、
この間、昔にお世話になったそのクライアントから「ちょっと誰にも相談できないんだけど、
ちょっと来てくれないか・・・・」と、意味深な誘いだった（笑
行ってみると、「今度、イントラネットを利用してシステム構築したいんだけど、
その前にいろいろ教えてもらいたいことがあるんだよ」と話が始まり、
私は知る限りのアドバイスを伝えた。
すると、「いや〜、相談して良かったよ。いろんな事が見えてきたよ。ありがとう。」
って言われました。
その時、私は「あ〜、俺、そういえば、この人に昔、ホームページを相談されても全然答えられなくて、
このままじゃいけないとWebの勉強をしたんだなぁ・・・そして、いつか、
よく分かったよって言われたいと思いながら頑張ってきたんだっけなぁ」と思い出したら、
何か凄くジーンときちゃいました（笑）
時間はかかちゃったけど、少しでも恩返しできたかなぁと思えた日でした。

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